あらすじ・ネタバレ

◆概要
奥田民生のような着飾らない編集者になりたいコーロギが希望とは違うお洒落な雑誌「マレ」の編集になり、その取引先で出会った美人プレスアカリと付き合うようになり、彼女に振り回され、最終的に悲惨な事件に巻き込まれ、人間とはなにか生き方とは何かを悟る漫画。

◆おすすめする人
・漫画｢モテキ｣が好きな人
・理想と現実のギャップに悩む人
・人間の心の闇を見るのが好きな人
・作者渋谷直角の漫画が好きな人

◆あらすじ
奥田民生の自分らしくダサくも生きているところを尊敬している編集者コーロギは、突然理想とは真逆のおしゃれ雑誌「マレ」に異動となる。仕事仲間は住む世界が違うくらいおしゃれで、自分とは合わないとやる気をなくしかけていた。しかし、マレの編集長に尊敬する奥田民生を肯定され、やる気を取り戻すとともに編集長を尊敬するようになる。コーロギの先輩にあたるヨシズミの引継ぎでアパレル会社のプレスアカリに会い、コーロギはアカリに一目惚れする。アカリとの仕事で失敗をしたが和解し、アカリと食事をすることになる。そこで、アカリに「恋人の束縛が激しくて、DVまでされる」と相談を受ける。「そんな彼氏からお前を守る」と言い、アカリと付き合うことになる。しかし、アカリはコーロギの先輩ヨシズミとも付き合っていた。その後ヨシズミはショックから仕事に来なくなり、仕事が忙しくなったコーロギは仕事と彼女のわがままに振り回されるようになる。そんなある日、アカリの出席するパーティーにヨシズミも来ることを知ったコーロギは自分もこっそりパーティーに参加し、ヨシズミがアカリに危害を加えないように見守ることにした。しかし、そこには編集長もいた。実は、アカリはコーロギ、ヨシズミ、編集長三人と関係があった。三人はそのことをアカリに問いただすと「みんな私のこと全然知らないじゃない」と怖い顔でいう。混乱した編集長はヨシズミに傷を負わせ、事件となり、マレは廃刊となる。その後、コーロギは名前を変え、他人が求める編集者となった。また、噂であるジムのトレーナーとアカリが結婚したと聞いて話が終わる。

◆おもしろポイント
「モテキ」の監督でもある大根仁が映画化し、注目を浴びた作品である。
自分がなりたい理想像と理想通りにいかない現実に悩む主人公に共感を得る読者は多いだろう。現実にアカリという魅力的な女性が現れ、奥田民生のような男になりたいという理想が揺らいでいく様はとても人間らしくリアルである。また、仕事と恋愛を両立できず、泥臭く仕事をするコーロギは信念を貫くかっこよさと恋人に振り回されるダサさが同時に描かれているところも人生は上手くいかないと作者が伝えているようである。そして、最後のアカリの「私のこと知らないじゃない」という発言はあなたたちの前では演技してるのよと伝えており、コーロギも読者も人生の上手な生き方を諭され、ハッとするだろう。生き方とは何か、理想と現実は何かと悩んでいる人は是非手にとって読んでみてほしい。
また、渋谷直角の他の作品にその後のコーロギがちょい役として出ているので、そちらもチェックしてみて欲しい。コーロギのあまりの変貌ぶりに読者は彼の生き方から、また学ぶことがあるだろう。