あらすじ・ネタバレ

◆概要
旗本本多家次男の荘十郎は幼少期に親を亡くし兄に育てられるが、兄夫婦に嫡男ができたので実家をでて側用人気取りの猫、トラと一緒に暮らしている。

◆おすすめする人
・猫好きな人
・江戸好きな人
・ほっこりしたい人
・御盆にご先祖様が帰って来ると信じている人

◆あらすじ・ネタバレ
荘十郎は殿様とよばれているが武家の次男な上、嫡男がいるの家なので他に家を借り、寺子屋をしたり農作業をしたりして糊口をしのいでいるが、猫のトラと一緒に穏やかに暮らしている。
トラは荘十郎の側用人として訪ねて来るものを吟味しているが猫なのでなかなか人を覚えない。野菜を持ってきてくれる猪吉のことも毎回胡乱な奴と思っている。
武家の朝は早いと身支度をしているトラだが、ちょっと軽い休憩をしているとけーんけーんという声にたたき起こされる。不適な面構えのキジをみて、いざ尋常に勝負と思っているのだが、どうも顔を尻尾でわさわさとされる。求愛である。このキジはトラが好きなようであった。
その後さらに不適な面構えの猫が現れる。右目に傷がある。荘十郎は我々は新参者ゆえ無礼はならぬと言いつけ、その猫はキジを追い立てて帰って行った。
実は猫も雉も猪吉の所の仔でさらに猫はたまと言う女の子であったという斬新な真実が後程判明する。
荘十郎が開いている寺子屋におみよという女の子がいる。元気がないので聞いてみると自立して一旗あげたい、でも街には怖いお店が多くてと相談を受ける。おみよの家に送り届けるとなぜかトラがおみよの父に御馳走になっていた。どうやらトラの大ファンらしい。
おみよの奉公先の下見を請け負った荘十郎とトラはおみよの父の船を借りるため川辺にいくがトラは真っ先に猪牙船に飛び乗った。荘十郎の子供時代唯一の友も猪牙船に乗る少年であったためトラも船が好きだったのだ。
それをみたおみよの父は気が付く。荘ちゃんだと。荘十郎も荘ちゃんとよばれ唯一の友だった正吉ちゃんと気づくのだ。
トラの父、由松の死やたまとの間にできた仔猫も相まって、穏やかに日々は流れていく。

◆おもしろポイント
物語の中にちょくちょく二足歩行をする白い巨大な猫が現れる。時に竹の子を売っていたり、甘夏をうっていたりする。
トラの父由松が亡くなった時は荘十郎の父が側に来たり、命日にお供えしたお酒を飲みにきたりと死イコール終わりではなく、見守られていたり、老いた体から抜けだして身軽になったりとほっこりするのだ。